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臨床心理士みるの脳腫瘍手帳

強いストレス下で、脳腫瘍になり、2016.11.14オペをしました。

「リップヴァンウィンクルの花嫁」配信限定版を見ました※加筆

時間を上手に過ごす 映画のこと

 

 

 ずっと見たかったんですが、公開している映画館が近くになくて困っていました。昨日ココさんのこちらの記事を見て、どうにかしてみたい!と調べていたら…

cocoquet.hatenablog.com


 2時間版という短縮形ではありますが amazonなどでも配信があることを知りさっそく見てみました。素敵なレビューがいろんなことが出ているし語るほどのことがあるわけではないのですが、とてもよかったので少し残しておきます。

 

 

 「リップヴァンウィンクルの花嫁」配信限定版は、ある女性の死と再生(なのかな?)の物語です。

 予告などで「ねこかんむり(ねこかぶり)」をかぶっているように、ふわふわ斜めに歩いていく彼女の生き方が、わたしにはなんだかわかるー…という感じでした。少女性(というのも気恥ずかしいけれど)の名残のある大人の女性なら心性としてはわかるんじゃないかな、この感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 結婚の下りなんかも、嘘やごまかしというのでもなく、ただただ彼女なりの方法で、流れに逆らうことを知らない素直なままで現実(普遍的な規範のある世界)を生きようとしているだけなんだと思います。もともと現実が苦手な人なので、とっても下手だし巻き込まれてしまうし嵌められてしまうしなのだけれど。


 素敵な物語のような場面と、いいの?それで、ほんとなの?信じていいの?騙されてるの?的な、白とも黒ともつかない場面が交錯して、中間にいることを長い時間過ごすことになるので、見ているほうもかなり揺れました。

 少女漫画のモノローグのような素敵なシーンが多くて、女の子(大人には見えないんですよねこのシーン)ふたりがドレスを着てじゃれあっているのは、なんだか「花とアリス」みたいで可愛かったです。たぶん、真白さんはいろんなことを考えながらも楽しかったと思うんです。それだけはほんとうに。必死な仕事の取組みを見ていると彼女は現実に住んでいて、けれど他者にはほとんどが偽りを語り、少しが本当にほんとう。真白さんを思うと苦しいです。

 バイト疑似家族の出会いと、お葬式の参列もとってもよかったなとおもいます。出会いのあたりで真白さんが一人慣れた様子なのも、偽りになれていることが示唆されてせつないです。ああいう沈黙を破る人が一番弱いんですよね。  
 むかしよしもとばななさんのアムリタという本があって、主人公の妹の描写のあたりにこういうツアーのような密接な関係のことが書いてあって、偽物なんだけどどこかほんとう、というあたりが似ているような気がしました。

 それに黒木華さんが可愛くて、可愛くて。あーもう大好きです。綾野さんの配役は怖いですねーさらりと、ああいうことが言えちゃう感じが…あの便利屋アムロさんはヒロインとは真逆の生きる力を持っているんだと思います。強くて怖い人ですね。

 意外にもヒロインが現実を生きる場所としているのに対して、便利屋さんは物事を独自のルールで生きているので、ヒロインは気づいてないけれど非道なこと(ヒロインにとっては)を悪気なく行動します。
 けれど、なんかヒロインのことをちょっとかわいいとか思ったんじゃないかなとか思ったり。少し力になったりしているのはなんとなくヒロインの持つ素直すぎるところが自分にはない魅力だったんだろうなと思います。

 ラスト、ふたりの「またね」はお別れなんだな、混じらない世界が交わったことを意識させられます(梨木果歩さんの裏庭みたいですねーこの辺)。ヒロインはちゃんと彼にお別れ=おとぎ話からの決別を笑顔でしていて、これからは自分で歩いていけるんだろうな、つよいなぁと思いました。

   ガーリーでもあり、毒入りスイーツでもあるのですが、こういうの好きな人(ソフィアコッポラとかサラ・ポーリーの世界観とか)にはたまらない映画だと思います。
 さみしいときにはテイクディスワルツとかロストイントランスレーションとかついつい見てしまう私には、なんだか痛いところを突かれて辛いんだけど、でもおぼれているときの世界の美しさや、空想の可愛らしさや、独特の濃密な空気の甘さに、なんだかくらくらする映画で忘れられない作品のひとつになりそうです。大人なんだけれど、時々揺れて少女性に帰ることを知っている方にお勧めします。

rvw-bride.com

 

 原作↓

リップヴァンウィンクルの花嫁

リップヴァンウィンクルの花嫁